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2018年4月22日 (日)

ケヤキの花

■前置き:
 ・桜前線も東北地方まで進み、「弘前さくらまつり」も始まりました。(4月21日(土)~5月6日(日))
 ソメイヨシノは早くも24日には満開になるとの予想に。

 ・それはさておき、 華麗なサクラの花の咲く頃に、知る人ぞ知るケヤキの花(3性同株*で、1本の短枝に雄花、両性花、雌花が着生する)が、葉の展開と同時に開きます。
 雌花が先に、雄花が遅れて開花します。
 但し、よほど近接して注視しない限り気付く人も少ない、ひたすら地味で小さな、花弁も無い風媒花というのがケヤキの花なのです。

 ・サクラの花見はあれども、一緒に咲いているケヤキの花見などはありません。
 この地味な「ケヤキの花の命」(開花期間)は、“散る桜、残る桜も散る桜”(良寛)と惜しまれて散りゆく「サクラの命」((開花期間:開花してから散るまで、は、(もちろん地域や天候にも大きく影響されますが)開花から満開まで1週間、散るまでに一週間程度とすれば、通算2週間前後になりますが))より一層短い8日間程度*(個々の木:同一個体)ということで、その花を目にする機会もずっと少なくなるのです。
 ( * 索志立・橋詰隼人・山本福壽(1995). ケヤキの着花習性、開花、受粉、花粉の生産および花粉の飛散について 日林誌 77(4), 332-339. ) ( https://ci.nii.ac.jp/els/contents110002830685.pdf?id=ART0003179732 ) 

 そこでこの春、一念発起、 サクラが満開の公園で、一人寂しく「ケヤキの花見」に“専念”してきました。
 遅ればせながら、侘び寂びの境地に浸りきったその記録です。

 ・公園に植栽されている樹種は多くはありません。
 その一つのケヤキは、数えて見たことはありませんが、小規模ながら並木になっていたり、林地や草原広場、またスポーツ広場周辺に点在していて、50~60本以上はあると思います。
 いずれも盛夏には緑陰を作る大木になっていますが、近年、公園管理の年次計画として、毎年強剪定、整枝、場合によっては伐採などが行われるようになっていて、目の高さにある枝が残っているケヤキはほとんどありません。
 花を観察するためにはどうしても、手が届く程度の位置に垂れ下がった枝のある木をまず探さなければなりません。
 何回か、まだ芽吹きの始まらない公園に散歩に行った折に、,その様なケヤキを探して、1本だけ、野球場の金網フェンス脇に大きく育ったケヤキが、下枝の伐採もされずに目の位置まで垂れ下がっているのを見つけていました。
 そこに数日通って、花の開花経過を観察することが出来ました。
 もちろん、下枝には直射日光は入りませんし、垂れ下がった小枝の先は僅かの風にも揺れ続けるし、カメラの位置は目よりも上で、首は痛くなるし、で、非力なコンデジでの撮影は途中であきらめて、(褒めたことではありませんが)目視で雌花、雄花の確認できた新梢の1本を10cm程切り取って、地面に腰を下ろして撮影しました。

■ここから記録記事です。

※なお過去に経過撮影したのものも含めて記載:
 (以下の画像はすべてクリックで拡大します。)

●2018.2.6.撮影
 ・冬芽です。
 茶色い鱗形の葉(鱗片葉)に覆われています。201826

 
 サクラが開花する頃に鱗片葉がゆるみ、葉が展開します。

●2018.3.26:
 ・開花期のケヤキ。
 ケヤキの芽吹き、花序展開が始まっていました。
 花序は他の枝より先に芽吹きます。20183261

 
 3.28: 
 ・花序には葉が付いていて、普通の枝と似ています。
 ただし、花序に付く葉は普通の枝の葉より小さくて細く、一足先に展開します。3282

 
●新しい枝(花序)に付く花には雄花・雌花・両性花があります。
 (画像は左から雌花、開花した雄花、両性花)Blg_2

 
 ここから4/1~4/4の撮影画像です。

●それぞれの花の付く位置:  
 ・枝(花序)の先端部分には雌花・両性花が1~3個ずつ付きます。
 雌花は雄花に先行して開花します。
 ・基部の方には雄花が多く、数個かたまって付き、雌花に遅れて開花します。2r0015684_2

 
 ・先端に付く雌花:Photo_2

 (また花序の中間部位には雌花・両性花・雄花が見られます。)

 ここまでは垂れ下がった下枝を見上げながら直接撮影した画像です。

 次からは、新梢の一部を10cmほど切り取り観察用標品として撮影した画像です。

●雌花:
 咲き始めの花序には雌花(および両性花)の花柱が2裂した”2本の柱頭が露出しています。
 (この時、雄花、両性花の葯はまだ開裂せず、花粉は出していません。)
 ・雌花の大きさは縦、横ともに2~3mmと小さなものですが、花柱の2裂した柱頭表面には”白色の細毛状突起が密生ししていて”白いはさみ状”に見え、よく目立ちます。R0015659201841_2

 
 ・雌花の“角”(2裂した花柱の柱頭)の下の緑色部が子房。
 葉が裏を向いていますが、出たばかりの葉で長さ3~5cmぐらいのまだ小さな葉です。R0015736_2

 
 ・両性花も見つかりました。R0015760_2

 
 ・新梢の別の枝には既に一部の雄花の開花が始まり、葯が開裂して花粉を放出している花序もありました。R0015746_2

 
●雄花:
 雄花は雌花に遅れて咲き始めます。
 赤い花被に包まれていた雄花も、花被が4~5裂すると4~6コの雄蘂の葯がのぞくようになります。
 次いで開花すると雄蕊の花糸が伸び出し、雄蘂が飛び出してきます。
 そして先端にある葯(2つの袋からなっています)が熟して開裂すると、花粉が一挙に放出されます。
 (画像の上段は花被につつまれた開花前の雄花。
 下段は開花して花糸が伸び、先端の葯の袋が開裂して花粉を放出しているもの。)4r_2

 
●両性花:
 雌花の白い柱頭と、雄花の葯が見えています。
 雌性先熟で雄蕊の葯はまだ開いていません。R00157603t_2

 
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 ・冬木枯らしが吹く頃、“2本の柱頭の角”がある、熟した果実を付けた小枝が“散布体”として風に運ばれ散布されるようになります。
 (過去ログから一部画像再掲:)24img_93721231

https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-9cd3.html

※ケヤキ(ニレ科ケヤキ属): 
 落葉高木で樹高20~25m。雌雄同種で雌雄異花。
 花期:4~5月、
 果期は初夏。秋に黒く熟す。形は不定形で、長さ約5mm。
 分布は本州、四国、九州。

             -続報があります

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