アジサイ
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5月下旬の越後路で見かけた山野草・植物の記録。
初めて目にしたのはヒメフウロです。
その他は過去ログがあり、目新しいものではありません。
●ヒメフウロ(Geranium robertianum )(フウロソウ科フウロソウ属):
(新潟県西蒲原郡)弥彦村地内の林縁で初めて目にしたヒメフウロでした。
少し情報を確認しましたが、在来種の自生地は限定された地域で、それ以外で観察されるのは帰化種とのこと。
今回観察できたところは分布域ではないので、帰化種と思われます。
(なお、Web上には(新潟県)阿賀野市地内で群生を観察された記事もありました。)
(画像はクリックで拡大します。)
※ヒメフウロ:
草丈 20~50㎝の1年草又は越年草 。花の直径は15mmほど。淡いピンクの5弁花で、花弁にはやや濃いピンクの帯が2本ついています。
花期は5~8月。
・日本在来種は本州(中部,近畿)・四国(剣山)など限定された地域の石灰岩地に自生分布する。
それ以外の日本各地域で観察されるものは、外来のHerb Robertや(園芸種として市販されているヒメフウロ)が逸出したものであろうという。
・帰化種はヨーロッパ、アジア、北アメリカ、北アフリカ原産。
●ヤブジラミ(セリ科ヤブジラミ属):
同じところに生えていました。こちらは在来種です。
(余談ながら、当方の身近で見かけるのはオヤブジラミ(雄薮虱)ばかりです。)
●オドリコソウ(シソ科オドリコソウ属):
同じ環境の林縁に群落を形成していて、葉脇に輪生する白色の唇形花がきれいでした。
山野や道端の半日陰に群生する多年草。
高さ30cmほど、茎は4角形、葉は対生し、広卵形、長さ5~10cm、幅3~8cmで、縁には粗い鋸歯があります。
花の上唇はかぶと形、下唇は3裂しています。
雑草のヒメオドリコソウより大型で見栄えがします。
花期は4~6月、分布は日本各地。
●タニウツギ(スイカズラ科タニウツギ属):
本州の日本海側に分布する落葉小高木で、山地の谷沿いや斜面に多く見られる日本固有種。
関越トンネルを越えて新潟県に入ると高速道路沿いの林縁、法面斜面などに普通に見られるようになります。
花期は田植え時期の5~6月で、今年枝の先端か葉腋に散房花序をつけ、多数の紅色~淡紅色の花をつけます。
●ミズバショウ:
龍ヶ窪池畔に群生地がありました。
●ツボスミレ:
同じ環境の林床に生えていました。ピンぼけ画像です。
暖地では3月下旬くらいから見られますので、やはり遅い春なのでしょうか。
●タチツボスミレ:
観察場所は同上。
●サクラの実:
サクラ(品種は不明ですが)に実が付いていました。食べてみたことはありませんが、黒っぽく熟しても美味しくはないそうです。
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先日、1泊2日で新潟県まで行ってきました。
当地(関東)はすでに緑濃い風景になっていますが、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」(川端康成)の「清水トンネル」ではありませんが、同じ地域を通る関越道の「関越トンネル」を越えると、そこにはまだ新緑の美しい風景が広がっていました。
印象に残った風景2点。
(画像はクリックで拡大します。)
■坂戸山:
(新潟県)南魚沼市街の東側にそびえる坂戸山の遠望です。
標高は東京スカイツリーと同じ634mと低山ながら僅かに残雪も見えました。
山全体が南魚沼市街のシンボル的存在となっていて、山頂には直江兼続ゆかりの山城跡(国指定の文化財)が残っているそうです。
■龍ヶ窪:(http://www.town.tsunan.niigata.jp/site/kanko/ryugakubo.html)
(新潟県)中魚沼郡津南町。
1985(昭和60)年に環境省「昭和の日本名水百選」(http://www.env.go.jp/water/meisui/ )
の一つに選定されています。
(註:平成20年には、水環境保全の一層の推進を図ることを目的に、昭和60年選定の「名水百選」に加え、「平成の名水百選」として選定が行われ、現時点では併せて200選となっています。)
苗場溶岩層とその下の魚沼層群との境から湧水があり、その一つ「龍ヶ窪」。
数々の龍神伝説も残っているそうです。
初めて見る龍ヶ窪の池はさほど大きなものではありませんでしたが、鏡のような水面に写る若緑(ブナ)、緑(スギ)、青空の風景は目に沁みました。
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ほぼ月遅れで、また目新しい記事ではありませんが、
●アカバナユウゲショウ:
ピンク色のかわいらしい4弁花を開く帰化植物の多年草。
まだ大型雑草が少ない春先の畦道などに普通に生えています。
●アカバナユウゲショウ(白花):
公園近くの草地や歩道脇に毎シーズン白花だけが群生、開花する限定的な場所があります。
他では殆ど見かけないので、一般的には“珍しい”ようです。
(撮影4月下旬: 画像はクリックで拡大します。)
※アカバナユウゲショウ(アカバナ科マツヨイグサ属):
北アメリカ原産で、観賞用に導入されたものが逸脱、野生化したという。
日中から普通に開花している。稀に白花もある。
花期は4~10月。
同じ草叢に開花していたハルジオンには蜜や花粉をもとめてたくさんの小昆虫が訪花していました。(撮影4月下旬)
●モモブトカミキリモドキ:
複数が目について撮影したのですが、全て後脚”もも”が太い♂の個体ばかりでした。
(♀の脚は細いです。)
・ついでに別の場所、別の花にもツマグロキンバエ。
怪しい目玉(複眼)模様。
●不明の小甲虫:
不鮮明な画像でよく分かりません。
ハルジオンの大きさ(花径2cmほど)から、大きさ(体長)10mm以下のコメツキムシの仲間で、「ヒメサビキコリ」に似ているようにも見えますが不確かです。
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●ムギヒゲナガアブラムシ(有翅型):
庭掃除中、(毎年のことながら(害虫などのせいで)既に葉に異常が出始めていた目前のフヨウの葉に、突然、ピッという感じで飛来したもの。
しばらくしてまたピッと視界から消えました。
”絵合わせ”で多分、ムギヒゲナガアブラムシ(有翅型)と推測しました。
(画面中央の”点”)
※参考:
ムギヒゲナガアブラムシ:
体長2..5~3.1mm。体色は緑色、黄緑色、橙赤色など変異がある。
主にイネ科(ムギ類、イネなど)植物の穂に付き吸汁する。
その他チューリップ、アケビなどの汁も吸う多食性の害虫アブラムシ。
無翅型の背面は黒色硬皮板があるものから無いものまで変異がある。
角状管は黒色で長い。尾片は淡色で長め。
出現時期は4~12月、分布は日本各地 。
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4月下旬、ご近所で見かけた徘徊性のハエトリグモ仲間3種。
●カタオカハエトリ♂:
金網フェンスの枠板を歩き回っていました。
第1脚の先端には黒い毛が密生していて、その脚をしきりに振り上げる仕草をしながら歩き回るその動きはすばやく、撮れたのは1枚だけ。
体長 3~4mm 前後と小さめで、橙色の歩脚がきれいな人気者。
なお♀は地味で全身灰褐色。
分布は日本各地。
●ネコハエトリ♂:
草叢の葉上を跳びはねるように徘徊していた♂。
大きさ♂8mm、♀は9mmほど。
分布は本州、四国、九州。
●マミジロハエトリ♂:
自宅で。1匹は玄関先で、もう一匹は庭のカラーの葉上を歩き回っていたもの。
どちらも♂。
体長6~7mm。
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ゴールデンウイークの間にすっかり田植えも終わって一段落した水田地帯。
(5月9日撮影)
●ムナグロ(旅鳥):
曇天で冷たい風の吹いていた田圃に姿を見せたのは旅鳥のムナグロ。
たった2羽だけで、まだ冬羽の個体 若鳥のようでした。
10年来の観察記録では、実に正確に、田植えが終わって静けさを取りもどした5月10日前後に通過しています。
しかし帰り道にはならないようで、秋に通過を観察したことは一度もありません。
●オオヨシキリ(夏鳥):
水田脇の空き地に残った枯れ茎にとまって赤い口の中が見えるほど仰々しい声を張り上げていたのはオオヨシキリ。
●水路上を横切るケーブルに止まって羽繕いをしていた1羽のツバメ。
乱高下を繰り返す気温のもと、青葉の季節が進みます。
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●クヌギの虫こぶ2種(クヌギハナカイメンフシ/クヌギエダイガフシ):
・4月上旬から中旬、池端の空き地に生えているクヌギに大量の虫こぶが形成されているのを目にしました。
素人目には、これでよくクヌギの樹勢が損なわれないものだな、と感心したほど。
(以下の画像は全てクリックで拡大します。)
・そして4月下旬には(雄花序も)大半の虫コブも脱落していました。
その頃には黄緑色の新葉が大きく生長していて、樹勢には何らの影響もないように見受けられました。
・2種類の虫こぶがあり、圧倒的に多数だったのは「クヌギハナカイメンフシ」で、雄花(花序)全体が肥大して直径25~30mmの綿球状になったもの。
・数カ所にしか認められなかったのは「クヌギエダイガフシ」。
数個が固まって若い枝につくられた虫こぶで、表面は軟毛が密生した棘状片で包まれているもの。
これら虫こぶの作成者はそれぞれ「クヌギハケタマバチ(クヌギハナカイメンタマバチ)」と「クヌギエダイガタマバチ」の2種ということです。
■後日(2018.10.6)追記:
今回記載の"クヌギエダイガフシ"は、昨年の7~8月に形成されていたものの”残骸”と思われるものでした。新鮮なものは夏に形成されます。
また多数の虫こぶが形成されていた雄花序や展開の始まった新葉の周辺には、まとわり付くように動き回る2種類の「タマバチの仲間」も目撃しました。
何者で、何をしていたのか、それらの詳細は分かりません。
一般的に寄主(今回はクヌギ)と虫こぶ形成者(今回はタマバチの仲間)との間にはきわめて特異的な関係があり、特定の虫こぶ形成者とそれによって寄主に作られる虫こぶの形、大きさ、色などの一般的性状はほぼ一定で、このため虫こぶから、形成者と寄主である植物を知る事ができるそうです。
特異的な関係のある寄主に致命的なダメージを与えてしまっては何にもなりませんから、この虫こぶ形成者のせいでクヌギが影響を受けるような事はまず無いのでしょうね。
・4月初旬、2種類の虫こぶを採取して一つのポリ容器に入れ、屋外に放置していたところ、4月下旬に2種類のハチが出現しているのに気がつきました。
・多数発生した胸部が橙色のハチの方は全て既に死んでいました。
気がつく以前に発生していたのです。
いずれにせよ、いい加減な観察経過と不鮮明な画像のため、先に見かけた2種類のハチや、今回観察した画像のハチについて、クヌギハケタマバチ(クヌギハナカイメンタマバチ)やクヌギエダイガタマバチとの関連・異同など詳細は分かりませんでした。
なお、過去にクヌギの葉に形成された球状の虫こぶクヌギハマルタマフシの記録があります。
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4月中旬から下旬にかけて、毎シーズン散歩がてらに観察に出かけるごく限定的な地域の自然林縁。
今シーズンはなぜか、目にしたヒメクロオトシブミやコナライクビチョッキリ、またそれらの揺籃が随分少ないシーズンでした。
新味はありませんが一応記録に。
■ヒメクロオトシブミ/コナライクビチョッキリ;イヌシデメフクレフシ
●コナラの小木で:
コナラ小木の一部範囲の枝に集中して、複数の揺籃が作られていました。
その中で、ヒメクロオトシブミの揺籃は1本の枝先の葉にあった2個だけでしたが、
”作品としては見劣りのする“コナライクビチョッキリの揺籃はあちらこちらに点々と分散して作られていました。
なお、近くにある他のコナラ小木には全く見つかりませんでした。
・一部の枝に集中して作られていたオトシブミと、点在するチョッキリの揺籃:
(以下の画像はすべてクリックで拡大します。)
・コナライクビチョッキリの揺籃(一部)と、その近くの葉上にいたコナライクビチョッキリのペア:
また、別の少し離れた場所に生えているコナラ小木には、作成済みのヒメクロオトシブミ揺籃が1個だけあり、近くの枝や葉上を歩き回っていたり、また地面に近い葉裏に静止していた2匹のヒメクトオトシブミを目にしました。
なお、残念ながら過去から現在まで一度も、揺籃作成中のヒメクロオトシブミに出遭ったことがありません。
・ヒメクロオトシブミ揺籃1個と、その近くを歩き回っていたヒメクロオトシブミ:
●イヌシデの小木で:
コナラ小木に隣り合って生えているイヌシデ小木にも、既に完成した2個の揺籃がありました。
(葉の両端から切り込む特徴からヒメクロオトシブミの作品と判断できます。)
コナラに較べて葉の表面に長い毛が生えていて、扱いにくそうに思えるのですが、問題にはしないのでしょう。
余談ですが
●イヌシデメフクレフシ:
同じイヌシデの小木で、所々の細枝先端に「虫こぶ」が形成されていました。
(フシダニの一種)「ソロメフクレダニ」によって、枝先端にある冬芽に形成された虫こぶ「イヌシデメフクレフシ」です。
越冬芽の鱗葉が肥大したもので、内部は柔らかい組織状になっています。
5月にダニが脱出するそうです。
※コナラ(ブナ科コナラ属):
雌雄同株。花は4月~5月に葉の展開と同時に開く。
雄花序は6~9cm、新枝の下部から多数垂れ下がる。
雌花序は短く、新枝の上部の葉腋から出て小さな雌花が数個つく。
葉は互生し、葉身は長さ5~15cm、幅4~6cmの倒卵形で、先は鋭くとがり、基部はくさび形。
縁に大形の尖った鋸歯がある。表面は緑色で展開直後の新葉には絹毛があるが、のち無毛になる。
裏面には星状毛と絹毛が生えいて灰白色。葉柄は長さ1cmほど。
※イヌシデ:過去ログ参照
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●カツラ(カツラ科カツラ属):
カツラの花に関しては既に何回か断片的には記事*にしていて新味はありませんが、改めて数年来撮り貯めた画像を処分するに際して、冬芽、雄花の開花、雌花の開花、結実のはじめ、また展開直後に観察される新葉の溢泌液(いっぴつえき)などについて再整理し、まとめの記録としました。
公園に複数のカツラが植栽されています。
雄異株で、高さ10~30mになる落葉高木。
散歩コースの公園では3月中旬から4月初旬にかけて、新葉の展開に先だって(雌株の)雌花、(雄株の)雄花が開花しますが、雄花の方が少し早めに咲きはじめます。
(繰り返しですが、花の開花後に新葉の展開が始まります。)
小さな花は遠目には目立たず気付かないことがありますが、関心を持って見ていれば開花の時期には樹全体がうっすらと赤味を帯びて見えるので気がつきます。
(3/30撮影)
同じ頃に咲く、更に小さく目立たないケヤキの花に較べればわかりやすいものですが。
開花(~結実)の時期は個々の木により、また年度毎の気象条件などにより、10日間前後の変動があり、また同一個体でも、枝の位置、日照条件もなどでも変わります。
一方、同一個体の花の寿命(紅色を保つ期間)は短くて、5日間ほどしかありません。
また雄花が雌花に先行して開花するため、雌花のきれいな時に写真撮りに行くと、雄花は既に萎れるかダメになっています。
そのため、少し早めの時季から観察を続けることが必要でした。
概要:
花期は3~4月。雌雄いずれも花に花弁や萼はなく、(雄花は)雄蘂だけ、(雌花は)雌蘂だけで基部は苞に包まれた特異な形態です。
●雄花:
雄花には20個ほど紅紫色の葯があり、大きさ5mmほどで、白い花糸が伸びて熟すと葯が開き花粉を放出して終わりになります。
・3/19:
雄花の開花が始まっていました。部位によっては既に白い花糸が伸びだしている花もありました。
(なお同日、雌花はまだ蕾でした。後述。)
・3/30:
白い花糸が伸びきり、葯が開裂して花粉を放出していました。
更に進んで淡褐色に萎れた花がらも散見されました。
・4/2:
雄花が終わって展開した新葉には溢泌液の粒がきらきら光ってきれいでした。
”朝露”などと違って、気温が上る日中でも”消える”ことはありません。
●雌花:
雌花には紅紫色の雌蕊花柱が3~5本あり、柱頭は1.5cm程。
・3月19日(雄花の開花が始まっていた日)、昨年の果実のからが残る枝についた雌花は、まだ蕾のまま。
・3/30~4/7:
開花が始まり、その後4/7までには花柱が伸びきり、柱頭も、縮み始めて花の終わりに近づくとともに、脇から新葉の展開が始まっていました。
雄花より5日ほど遅れての進展です。
●果実:
花後に結実した若い果実は緑白色の長細い袋果で、大きさ1.5cmほどの円柱形で小さなバナナのような形をしていて、先に柱頭の名残がついています。
・4/25:
樹木全体がきれいな若葉の新緑で覆われるようになり、その緑陰に隠れるように、黒っぽく糸状に萎縮した柱頭の名残がついた若い果実が形成されています。
この頃には傍に行ってかき分けてみないと果実は見えないこともあります。
・5/8:
枝に残っていた昨年度の果実の殻は全て脱落してなくなり、多数できている青いバナナのような若い果実は、見る位置や角度によって見えたり見えなかったり。
(果実は)秋に黒紫色に熟すと裂開して翼のある小さな種子を散布します。
種子散布後の殻は翌年春まで枝に残っています。
・3/29撮影:
殻です。(秋に熟して種の入っている時の観察画像がありませんでした。)
すっかり裸になった冬の間には雄株、雌株の見分けが簡単にできます。
●葉:
葉は卵形~広卵形で縁に波状の鈍い鋸歯があり、3本の長い脈(側脈の三行脈)が目立ちます。
長枝では対生し、短枝には1枚つきます。
葉身の長さは3~8cm、葉柄の長さ3cmほどで赤みをおびています。
・5/8:
・春の新葉、秋の黄葉は美しく、また黄葉が進んで萎れる頃にはキャラメルや綿菓子のような甘い匂いがします。
●カツラ冬芽と葉痕・維管束痕:
・3/10:
冬芽は三角錐形ないし円錐形で対生し、長さ3~4mmほど。
芽鱗は2枚で無毛、赤紫色~赤褐色で、外の1枚の背面に割目がある。
短枝では頂生芽が1個つく。
-完-
*過去ログ:
1) カツラ雄花の開花 18/03/26 :
https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5928.html
2) カツラ新葉の溢泌液 17/04/05:
https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-4492.html
3) 晩秋の公園(2015/11) 15/11/20:
https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/201511-cb45.html
4) カツラの雄花と雌花、エノキの雄花と両生花 15/04/13:
https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5928.html
5) カツラ、冬芽と葉痕・維管束痕2011年3月10日:
https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-1ed6.html
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当地の公園や近隣の林地にあるイヌシデやアカシデ(いずれも雌雄同株;雌雄異花)の雄花序は葉の展開に先立って3月中旬には展開が始まり、続いて花序が垂れ下がるようになります。https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-a8c3.html
その後、下旬には雌花序が展開、垂れ下がるようになります。
花は、葉の展開と同時の3月下旬~4月はじめに開花します。
4月はじめ、雌花序(果穂)が垂れ下がった頃には、先に伸びきっていた雄花序の大部分は脱落して地面に散り敷くようになりました。
■イヌシデとアカシデの比較:
以下、いずれの画像も左側がイヌシデ、右側がアカシデです。(また全ての画像はクリックで拡大します。)
・葉の形状比較。
葉の先端が尾状に尖るのがアカシデ、短く尖るのはイヌシデ。
(但し、場合によっては尖り具合の差異が判然としない場合もありますが、多数観察すれば区別ができます。)
・4月はじめの雌花序(花穂)の様子:
(左画面黄緑色のものイヌシデ、右画面2本アカシデ)
・イヌシデとアカシデの樹皮比較:
(左イヌシデ、右側アカシデの方が滑らかな感じ)
■「ハマキチョッキリ」の仲間が、イヌシデやアカシデの葉を複数巻き合わせて作った”葉巻物”揺籃:
・4月中旬、若葉が展開したばかりの林地に混生しているイヌシデやアカシデの樹冠下に、大量に落下したイヌシデやアカシデの雄花序に混じって、点々と複数の葉を重ね巻き合わせた筒状の”葉巻物”が落ちていました。
腰を下ろして手の届く範囲で拾い集めてみると、新鮮な若葉を巻いて切り落とされたばかりのものから、切り落とされて時間が経過したものなど、また大小様々です。
「ハマキチョッキリの仲間」が作った揺籃です。
それは特に珍しいものではなく、毎年、若葉の頃にはごく普通に観察されるものです。
”今まで余計なことはしない”、ということで開けて見たりしたことは一度もありませんでした。
この度、作製者には申し訳ないのですが、今回限りということで、いくつか拾い集め、新鮮で大きな標品を選んで巻き戻して中をのぞいて見ました。
3点ほど観察したイヌシデ、アカシデいずれでも、巻き合わせられた葉の枚数や、サイズなどにはバラツキがありましたが、最後の葉に(産みつけられ)つつまれていた卵は全て1個だけでした。
(1個の揺籃に複数産卵されることもあるそうですが。)
きっちり巻かれた揺籃をまき戻すのは簡単ではなく、巻き込まれた葉の1枚ずつの端は糊付けされているかと思うほどしっかり付いていました。
そこで落ちていたササ竹の軸を”爪楊枝”代わりにして、葉が破れないよう慎重に開いていきました。
以下の画像は、葉柄の長いアカシデの葉4枚を重ね巻きして作られていた揺籃の観察例です。
巻き戻してみて、重ね合わせは互生している葉を単純に茎に、ついている順に巻くのではないことも分かりました。
・アカシデ製。葉が1枚がついた茎ごと切り落とされていた新鮮な”葉巻物”揺籃:
葉巻の長さは5cmほど。
・最後の4枚目を慎重に開いていくと、葉の一番端の巻きはじめたところに卵が1個、産みつけられていました。
その近くに小孔が開いていましたが、産卵のためにあけられたものでしょうか?
・観察後、元のように巻き順を確認しながら巻き返すのはもっと大変で、途中でどうしてもグズグズに緩んでしまい、完全に復元できませんでした。(画像一番手前の標品)
ニンゲンなのに小さな昆虫チョッキリより、チョッキリ技能が劣るのです。
申し訳ないことでしたが、卵が無事に育つことを祈るのみ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
残念ながら、揺籃を作製して切り落とすまでの作業を観察することは難しいです。
多くの場合、揺籃の大半は高木の見上げても葉陰で見えないところで作られていて、出来てから地表に切り落とされたものを観察するだけですから。
■切り落とされずにぶら下がっていた揺籃:
ただ、今回はじめて1例だけ、林縁の遊歩道に自生したと思われる小木のイヌシデで、ちょうど(歩いていた)目の前に、カット作業は施されてはいたものの、切れずにぶら下がったままの、まだ新しい葉巻物を見つけました。
時間が経てばやはり自然にちぎれ落ちるような気がしましたが、それはともかく、このような機会にうまく遭遇できれば、「作成者のお姿」確認と、その作業工程を観察できるのですが、チャンスは少ないのでしょうね。
※雑記:
”製作者”の「ハマキチョッキリ」情報を少し調べて見ましたが分かりませんでした。
それで無関係かも知れませんが、参考情報として:
・体長3~5mmほどで、年1回春出現してシデやコナラ、その他の様々な葉を巻く「ファウストハマキチョッキリ」という小型種の仲間がいるそうです。
揺籃の中で孵化した幼虫は終齢幼虫まで育つと揺籃から脱出して土中で夏を越し、秋に蛹化、羽化してそのまま(土中で)成虫越冬し、翌春に姿を現してしばらく後食したのち繁殖活動に入るというライフサイクル。
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■展覧会見学メモ記録:
国立新美術館で開催されている『ビュールレ・コレクション展覧会』【会期2018年2月14日(水)~5月7日(月)】の最終日5/7、しかも肌寒く小雨が降る午後4時前、入場券売り場で閉館時間は6時であることを確認して見学してきました。
去る4月13日の朝方、予定していた別の絵の展示会【示現会展】に出かけた折りには、スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)の収集作品、至上の印象派展ということで、ビュールレ・コレクション展の会場入り口には既に入場待ちの長蛇の列がありました。
当日の“ハシゴ”見学はあっさりギブアップ。
それで、見学は最終日しかない、ということに。
(4/13撮影画像再掲):
さすがに、“期待していたとおり”、“待たずに入場、ゆっくり見学”できました。
閉館30分前になる頃には、ポツンポツンと前に佇む人がいない絵もある中で、人だかりが途絶えなかったのは当然ながら
ルノワールの作品「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」の前でした。
・展示品撮影は禁止ですが、展示室最後の展示作品だけは撮影OK(フラッシュ禁止)でした。
クロード・モネ 『睡蓮の池、緑の反映』:
(画像はクリックで拡大します。)
※この次は5月19日~福岡展の開幕です。
(→展覧会ホームページ:http://www.buehrle2018.jp/ )
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4月中旬、先に揺籃作成中のエゴツルクビオトシブミ♀を観察していました。
その数日後の4月下旬、別の場所で、道端に自生したと思われるエゴノキの小木に、既に出来上がった揺籃が2個吊り下げられているのを目にしました。
揺籃は、先に見かけたタイプと違って、葉の主脈は切断して吊り下げるタイプでした。
そしてまた少し離れてはいましたが、葉の上に暇そうに?静止していた首の長い♂のエゴツルクビオトシブミも見つけました。
首を長くして♀の現れるのを待ちぼうけしていたのでしょうか。
近くに♀は見当たりませんでした。
・葉裏に隠れるように回り込んでから、しばらくして葉を囓りだしました。
暇で、空腹だったのでしょうか。
それだけの観察でした。
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2018/4月中旬、散歩がてらに出かけた自然林保全地で、エゴノキの小木にエゴツルクビオトシブミの姿を見つけました。
居たのは頭のすぐ上ほどの枝で、手を伸ばせばたぐり寄せられる位置。
そして、ちょうど揺籃作り作業を開始したばかりで、葉の片側からの切り込みを始めていたところでした。
枝をそっと引き寄せても、作業を中断したり、逃げだしたりはしません。
ただ、時折吹く風で、片手でたぐり寄せた枝先のオトシブミがいる葉は大きく揺れるし、時には葉がオトシブミごと裏返しに吹き上げられるようなこともあって、観察にはあまり適した状況ではありませんでした。
しかし作業を始めたオトシブミは動じる様子はまったくなく、作業を継続しています。
そこで、過去に何回か観察記録もあるので新味はありませんが、今回はつききりではなく、適当な間を置きながら、風が止んだ時などに片手で枝を引き寄せ、片手のコンデジで撮影した画像の中からを選んで以下の記録としました。
■揺籃を作っていたのはこんなところ。.(am11:27撮影)
林縁のエゴノキ小木で揺籃作業中。葉の二つ折りがほぼ出来上がりつつあります。
黄色円内→にいるのが今回主役のエゴツルクビオトシブミ♀です。
(以下の画像は全てクリックで拡大します。)
■観察経過記録:
今回の観察例では、葉の切り込み開始から揺籃完成までの所要時間はおよそ70分と推測しました。
●揺籃作製経過観察記録:
・am11:10
主脈には切り離さない程度の咬み傷をいれました。
・am11:12
さらに主脈を跨いでその先へと切り進み、後に揺らんをぶら下げるための部分を残してから、再び主脈まで戻ってきました。
・am11:14
先に傷を入れた主脈の切れ目をもう少し深くする咬み傷を慎重に入れてから、”首の皮1枚で”つながっているのを確認して、これで裁断作業は完了になりました。
ここまでの所要時間は5分でした。
・am11:15~11:33
葉の裁断を終えてから葉裏に回ります。
それから延々と、およそ20分以上の時間をかけて、揺籃を作りやすくするために葉の”柔軟加工“作業が行われました。
揺籃作製に選んだ新鮮で柔らかい葉には弾力があります。
そのため1度挟みつけただけでは、すぐにもとに戻ってしまうなどして、揺籃作りの際にはこの弾性が障害になるのです。
葉の裁断を終えた後の揺籃成形行程では、まず葉の主脈を折り目にして(葉表を基準にして谷折りに)合わせ折にします。
次いでその2枚合わせになった葉の下端からロール状に巻き上げていくのです。
そのために、まず”柔軟加工“が必要なのです。
葉の柔軟化という具体的な行動は、揺籃にする部位の葉を頑丈な脚で“挟み込む”ようにして撓めながら、直ぐに戻らないように葉の所々の葉脈に咬み傷を入れて、葉の弾力を削いでいくという仕事を繰り返してまんべんなく行うという、根気の要る作業なのです。
・am11:15~17
※am11:33まで現地に居ましたが、まだ同じ作業が繰り返し続く様子なので、この後はニンゲン様の休憩のため現地を離れました。(オトシブミ様は本当にお疲れ様なのです。)
・pm12:03
(柔軟化作業が始まってから48分後)に戻ってみると既に2枚合わせにした葉の下部から揺籃の巻き上げ作業が進んでいるところでした。
(このため、柔軟化作業が何時終わったのかは、不明です。)
巻き上げ作業工程では、巻き上げをはじめて数回目の小さな“揺りかご”に産卵がおこなわれます。
“揺りかご”の一部に咬み傷の穴を開け、産卵管を差し込んで卵を産みつけてから、更に巻き上げていくのです。
残念ながらその段階は既に終わっていて、せっせとさらなる巻き上げにがんばって居るところでした。
この間も相変わらず風が吹き、枝が吹き上げられたりしますがお構いなしに働きます。
お手伝いしてやりたいほどでした。
※ pm12:11まで見ていましたが、まだ半分以上の巻き上げが残っていて、しばらく時間がかかりそうだったので、再び怠惰な人間は30分ほど休憩に離れました。
・pm12:39
戻って見ると、さぼっていた間に既に揺籃は完成していて、傍にはオトシブミの姿はありませんでした。(このため揺籃完成時間は不明です。)
完成した揺籃はなかなか立派なものでした。
■葉の切り込み開始(am11:09)から揺籃完成(pm12:11~12:39の間)までの推定所要時間は70分ほどでした。
今回の観察例では過去の観察例とは少し状況が異なりますが、かなり長い時間がかかったようです。
・過去のエゴツルクビオトシブミ揺籃作製観察記録:
1) https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/20154-c4f2.html
2) https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/-120155-d7fb.html
3) https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/-2120155-8644.html
なお余談ですが、揺籃内部に産みつけられた卵から孵化した幼虫は、揺籃内部を食べながら成熟し、蛹になり、そして脱皮し成虫になってから、揺籃壁に穴を開けて外界に出てきます。状況にもよりますが2~3週間くらいかかるのでしょうか。
※エゴツルクビオトシブミ(オトシブミ科オトシブミ亜科):
エゴノキ属のエゴノキやハクウンボクに寄主特異性を持ち、それらの葉上で見られる。
光沢がある黒色のオトシブミで♂は首が長く、♀は葉を巻いて揺籃を作る。
大きさ♂7~8mm、♀5~6mmの小型種。
出現時期は4~8月、分布は日本各地。
この小さなオトシブミに対抗できる、『最先端人工知能組込みロボット・オトシブミ』を作ることは容易ではないでしょうね。
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■追記:
・なお、出来上がっていた揺籃の観察を終えた、その後しばらく後に、場所的には少し離れたところのエゴノキに、1匹のエゴツルクビオトシブミ♀(首が短い)が、葉の上をウロウロしているのを見かけました。
一仕事終えた後の食事中の個体だったのでしょうか。
また更に長くなりますが、別の枝に先に出来上がっていたと思われるもう一つの揺籃を見つけました。
写真を撮って確認したところ、やはり主脈を切り離さない作り方の揺籃で、上述の揺籃と同じ特徴を持つため、制作者は同じではないかと推定しましたので、追加しました。
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風薫る5月、最高気温30℃の真夏日でスタート。
今更とは思いますが、本日夕刊紙のトップ記事は「関東甲信3・4月、一番暑い春」の大見出し。
昨日も夏日でしたが、庭の2種類のバラが突然のように1輪ずつ開花しました。
そして本日は既にきれいさが損なわれてきています。この暑さのせいでしょう。
●ディンティベス(Dainty Bess.):
(ハイブリッドティー、四季咲き、作出Archer、作出年度1925年、作出国フランス)
花はきれいなサーモンピンクの一重咲きで、花芯が紫色になる。ほのかな香りがあり、花径11cm。
●ブルームーン(Blue Moon):
(ハイブリッドティー、四季咲き、作出Mathias Tantau, Jr. 、作出年度1964年、作出国ドイツ、
1965年オーストラリアで”Blue Moon” として紹介(introduce)された。)
花は明るいラベンダー色、形は整った半剣弁高芯咲きで、強いダマスク&ティー香を漂わせる。花径13cm。
・今朝、新聞受けに新聞を取りに出た時にはきれいだな、と思ったものでしたが、2時間経過した朝食後、写真撮りに出て見ると、何ともうすでに開きすぎ。
更に、所用で外出して正午前に帰宅した時にはもう咲き進んで黄色い蘂がのぞく大きなカップ咲きになり、だらしない印象の花姿に・・・
切り花にして花瓶に挿しました。香りは十分楽しめますが、(好みによりますが)花姿は絵になりません。
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