クヌギハケタマフシ(クヌギの虫こぶ)
去る4月上旬から中旬、池端の広場(空き地)に植栽されているクヌギに大量の虫こぶ(虫癭)「クヌギハナカイメンフシ」が形成されているのを観察していました。
・4月初旬撮影クヌギハナカイメンフシ(再掲)
そして今度は9月中旬に偶然ながら、その同じクヌギの樹で、見上げた枝の葉裏に多数の小さな球形の虫こぶが出来ているのを目にしました。
よくもまあ! という感じで、少し気持ち悪いほどでした。
写真は手の届く葉の1枚を裏返しにねじってから撮ったものです。
(以下の画像はクリックで拡大します。)
●クヌギハケタマフシ:
外観はえんじ色で全体に細かな毛が密生していて、大きさは5~8mm位のほぼ球形で、やや細まった頂部が凹んでいます。
初めて目にした種類の虫こぶ”クヌギハケタマフシ”で、「クヌギハケタマバチ」によって(葉裏に)作られたものと分かりました。
・この虫こぶは7月中旬頃から形成がはじまります。そして、出来上がった虫こぶは9月下旬~10月初旬になるころに落下するそうです。
(確かに先の台風24号が通過した後に見た時には大量の虫こぶが、(クヌギの)ドングリと共に落下して吹きだまりに堆積していました。)
・虫こぶの中に居る幼虫は11月頃には成虫にまで育ち、そのまま越冬して翌3月に虫こぶから外に出て来ます。
この時に出てくるのはメスだけで、交尾を経ずに産卵を行うため、「単性世代」と呼ばれます。
そしてクヌギの雄花の花芽に産卵が行われた後には、萌芽と同時に雄花に虫こぶが出現します。
この虫こぶが本文頭に記載の「クヌギハナカイメンフシ」で、ここから出て来るタマバチは「クヌギハナカイメンタマバチ」と呼ばれる雌雄の「両性世代」になる、という特異な生態なのです。
※何ともややこしいので繰り返し:
・“クヌギハケタマフシ”は「クヌギハケタマバチの単性世代」に形成される虫こぶで、これに対して見た目の全く違う“クヌギハナカイメンフシ”は「クヌギハケタマバチの両性世代である「クヌギハナカイメンタマバチ」によって形成される、ということなのです。
・更にくどいですが、5月下旬~6月上旬に“クヌギハナカイメンフシ”から「クヌギハナカイメンタマバチ」が出て来ますが、この時には雌雄両方が羽化し、交尾を経てからクヌギの若葉の裏面に産卵するため、両性世代と呼ばれるのです。
そして産卵後の7月中旬ごろから、葉裏に今回観察の虫こぶ“クヌギハケタマフシ”が出現するという生活史なのです。
なお本種に限らずタマバチのかなりの種が、時期によって単性世代と両性世代を持ち、異なる虫こぶを形成するのだそうです。
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雑記:
心配していた台風25号でしたが、当地(関東)にはさほどの影響はなさそうです。
本日は南風が強めに吹いて日中の最高気温は28℃でしたが、外出すると汗をかきました。
明日7日はさらに気温が上がり(32℃)熱中症に注意、との予報ですが、贅沢は言えません。
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