日光をさえぎるほど伸びる雑草はまだ少なくて日当たりのよい草地には、今を盛りと小型の植物が花を開いています。
毎年の繰り返しで新鮮味はありませんが、一応記録に。
(以下の画像はクリックで拡大します。)
●タチツボスミレ:
公園の林地で。
クスノキ大木の根元で、ほとんど明るい裸地になっている林床に、タチツボスミレが群生しているのを目にしました。
公園内には随所に点在しているので、花そのものは珍しくありませんが、これほどに集まっていたのには少しばかりびっくり。
アリによる種子散布などがあったからでしょうか。
※余談:
スミレやカタクリなどの種子には、脂肪酸、アミノ酸、糖からなる“エライオソーム”と呼ばれる柔らかな化学物質が付着・付属しています。
種のそばを通りかかったアリはこの物質に誘引されて種をエサとして巣に持ち帰り、付着物エライオソームのみを食べると、種子は巣の近くに捨ててしまいます。
そのことよって種子は広く遠くまで運ばれ(種子散布され)、分布域を広げることができるのです。
●アリアケスミレ:
4月中旬くらいから、開けた草原のあちらこちらに点々と花を開く多年草です。
※温暖な平地の耕作地帯や河川敷の開けた日当たりの良い少し湿り気のある草地など、また公園や市街地でも普通に見られる繁殖力の旺盛な多年草です。
草丈は5~15cm。花色は、同じ場所に生えていても、白色のものから淡紫色や紫色の筋が目立つものと変化が多いスミレです。
花径2㎝ほど。側弁の基部に毛があり、また上弁にも毛があるものも存在します。
花期は4月上旬~5月頃、分布は本州、四国、九州。
●ノヂシャ(オミナエシ科ノヂシャ属):
まだ大きく伸びた雑草が少ない、少し湿り気のある池端の草地に群生していました。
堤防筋などにも点在しています。
※ノヂシャはヨーロッパ原産の帰化植物1年草(越年草)で、茎や葉はサラダとして食べられ,栽培もされています。
草原などの開けた地面や路傍に群生して、4月頃から淡青色で大きさ数ミリの小さな花を次々に開きます。
個々の花は小さくて目立ちませんが、群生しているとそこだけ浮き上がった塊として結構目立ちます。
小さな花も拡大してみると結構可愛らしいです。
花期は4~6月、分布は日本各地。
●キランソウ(別名ジゴクノカマノフタ:地獄の釜の蓋)(シソ科):
庭に定着していて、毎夏の猛暑に耐えてしぶとく生き残るキランソウ。一度聞いたら忘れられない“別名”です。
放任すると増えすぎるため気まぐれに除草していますが、少しは残しておきたい庭の雑草の一つです。
※山野の道端や土手など、また気付きにくいですが市街地でも目にすることがある多年草。
生育場所や環境により変化はありますが、多くは地面を這うように茎を伸ばして“地面に蓋をしている”ような草姿で、青紫色の花を咲かせている時にはそれと気づきます。
別名の「ジゴクノカマノフタ」は、そのような草姿、また草には病気を治す効果があるとか、患者が地獄に落ちるのを防ぐ“蓋”になる、ということで名付けられたとの説もあるそうです。
花期は3~6月。花の色や形は一見ジュウニヒトエにも似ています。
●ジュウニヒトエ(園芸種):(シソ科)
放任すると増えすぎるため、時折間引きする他には特に“お世話”しなくても毎年、シーズンになると花を咲かせる丈夫な多年草です。
※1つの株から多数のランナー(匍匐茎)が地面を這うように長く伸び、先端の節から芽や根を出して増殖します。
葉の脇から穂状花序を立ち上げ、その先に花径5~10mmほどの小さな青紫色の唇形花を輪生させます。
●コバノタツナミ(シソ科タツナミソウ属):
庭の片隅から、裏口の方まで、こんなところにと思うほど、あちらこちらに生えて定住する丈夫な多年草です。
名前は花が片側を向いて咲く様子を、寄せる波に見立てたもの。
花の最盛期は4~6月ですが、早春から時折季節はずれにも花を開くことがあります。
●ヤマブキ(バラ科ヤマブキ属):
公園の生垣として植栽されているヤマブキ(園芸品種かも)が黄色い花を開いていました。
毎年コンパクトに刈込みされるため、山野に自生しているものに比較すると花数は少なくなりますが、万葉の世から親しまれてきた“山吹き色”がきれいです。
花期は4~5月。