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2019年11月28日 (木)

雑記2

 想定以上の大災害を惹起した台風15号、続いて19号、その後の防災・減災対策に関して種々の問題提起がされています。
 新聞切り抜き記事などをメモしました。

①読売新聞(2019.9.22)記事:
 気候温暖化で台風強力に。
 台風15号で鉄塔倒壊・停電など千葉県に甚大な被害発生。
 温暖化の影響で(今後)日本を襲う台風全体の勢力が強くなる事態が懸念される。このことを見越して電力や水道などインフラの防災対策や住民の避難計画を作るべき、と専門家の提言。

②読売新聞(2019.10.24)記事:
・250万人避難「方法ない」
 東京東部5区 ルートも行先も未定。
 自宅浸水リスクのある住人は行政からの指示や情報を待たず、発令前でもすばやく遠方の親戚宅に自主避難するなどの意識を、と識者の声も。

・同紙同日の記事
 利根川中流沿いの茨城県・境町では台風19号が上陸した12~13日、約2200人が、町が手配したバスなどで隣接する古河市と坂東市の県立高校2ヵ所に避難した。
 策定済みの広域避難計画に従って、町長自ら「ためらわず」実行した防災無線での呼びかけに応じた行動。
(→お見事です。)


③読売新聞(2019.10.31)記事:
 電柱強度見直し検討 千葉停電検証

④経済産業省(2019.11.5)
 鉄塔・電柱に係る技術基準をめぐる現状について
 台風15号による大規模停電を検証する有識者作業部会を開き、中間報告案を示した。
 鉄塔や電柱などの倒壊が相次いだことから、強度を含めた基準の見直しを検討する。
 令和元年11月5日 経済産業省 産業保安グループ経済産業省 資料4
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/tettou/pdf/001_04_00.pdf
  →2019.11.29 全国一律の基準ではなく、地域ごとに基準を設定することになった、とのこと。

⑤ 読売新聞(2019.11.18):
 先の台風19号の大雨で氾濫した久慈川(茨木県下)で、上流から田畑側にあふれた水が下流で堤防を越えて河川側に戻っていったらしく、それ(河川に戻る水の勢い)によって下流の堤防が決壊したとみられるという。
 この現象は、他の宮城県丸森町や福島県下の阿武隈水系でも起きていたとみられ、過去の洪水時にもその可能性が指摘されて、今後の治水対策の見直しが求められるという。
 専門家は「単純に堤防を強化するのではなく、上流域の雨水の増加などに備えた総合的な治水対策が求められる」と提言。

・ことさら目新しい議論ではなさそうですが、
 かつて(2009年)政権交代時の民主党が、(すでに前政権で)着工していた『高規格堤防(スーパー堤防)事業』
(→(1) http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/kikaku/jigyohyoka/pdf/h19/04siryo/siryo1-2.pdf
 (2) http://report.jbaudit.go.jp/org/h23/YOUSEI2/2011-h23-6583-0.htm )
に関して、事業仕分けで “スーパー無駄遣い”と決めつけて事業を中止するなど、政争の具にされた履歴があります。
 その後、事業は再開されたものの、完成までには100年以上かかる計画であり、その事業費も膨大な金額が見込まれること、また「上流から下流まで全流域が切れ目なく出来上がる時点まで、防水機能は完全ではない、ことなど、世紀の一大事業です。

 なお19号で東京都下でも出水被害が発生しましたが、防水堤防事業を住民の熱心な努力・協力により推進していた地域では、災害を免れた実績があるようです。

 防災・減災・国土強靭化などの計画・実行については簡単なことではなく、いろいろな意見・議論があるのは当然ながら、ともかく政争の具にするだけで具体策も実行も何もないという愚だけは避けてほしいものです・・・

*国土強靱化年次計画2019:
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/pdf/nenjikeikaku2019_02.pdf

⑥ 読売新聞(2019.11.19)
・台風19号「水位見えぬ」不満
 水害が相次ぐ中で河川管理のため監視カメラ(ライブカメラ)映像が配信されているが画質が悪かったり見えなかったりと問題点が指摘され国や自治体が河川カメラ機能の強化に乗り出す。
 (実際に、当方も”肝心の時間帯でライブカメラ映像を“一時受信できなかったことを経験しました。)

⑦読売新聞(2019.11.24)
・国内全ダム運用見直し
 国内全1460基のダムについて、来夏にも、大雨時の貯水量を確保するため、大雨が予想される場合には利水用の水をあらかじめ事前放流して水位を下げて、新たに貯水量を確保するなどの対策を実施することに。
 (余談ながら、湛水試験中だった八ッ場ダムは、偶然の幸運で、19号の雨を満水貯留できた。)

⑧付記/その他:
・自然史・地理学的に見ると、古代文明発祥に深いかかわりを持ち、農業や産業の発達など人びとの生活の重要な場として利用されてきた世界各地の主要な部分は「沖積低地」*とよばれる地形区域である。
 その重要な沖積低地は、またしばしば襲来する洪水をはじめ様々な自然災害に曝されて、生活する人々に多大な犠牲を負わせるという歴史を重ねている。
 日本においても沖積低地における人々と自然のかかわりの歴史は世界各地と共通していて、現在に至っている。

・関東地方居住域の現状:
 関東平野における貝塚の分布にもとづき縄文海進期の海岸線の復元が行われた結果、縄文時代前期の東京湾最拡大時である6,000年前の海岸線は、現在の埼玉県栗橋・渡良瀬遊水地付近まで入り込んでいたことが明らかにされた。6000img015blg

 現在の関東平野中央部は、標高50ないし20m程度の台地と、これらの台地を開析する利根川、渡良瀬川、荒川、多摩川等の河川の流路に形成された沖積低地から形成されている。その標高は関東平野の中央部である埼玉県の加須市付近で 10m前後。

(余談ながら、当方の居住する行政域の大部分は関東平野の中央からやや南寄りにある海抜8m前後の沖積低地(中川低地)に位置しています。利根川上流域で堤防決壊、氾濫が発生すれば自宅は床上浸水を免れることは出来ません。)
(なお、一部ながら、西部の古利根川沿いの自然堤防地域や、東部の江戸川沿いの地域(江戸川開削によって切り離された下総台地)など、海抜15m前後の台地状の部分域も散在しています。)

ついでに
●「首都圏外郭放水路」
国土交通省関東地方整備局 江戸川河川事務所
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00402.html
・洪水を防ぐために建設された地底50mを流れる世界最大級の地下放水路。
 (所在地:埼玉県春日部市上金崎720番地)
 着工1993年(平成5年)3月、2002年(平成14年)6月に一部供用を開始、2006年(平成18年)6月から全区間完成&全川の供用開始)。
中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となった時、洪水の一部をゆとりのある江戸川へと流すことができる。
 もともと中川・綾瀬川の流域は、利根川や江戸川、荒川といった大きな川に囲まれたお皿のような地形の低い土地で水がたまりやすく、これまで何度も洪水被害を受けてきた。
 また川の勾配は緩やかなので大雨が降ると水位はなかなか下がらず、さらに近年の都市化で降った雨が地中にしみこまず一気に川に流れ込むようになったことでも洪水が発生しやすくなっていた。
 首都圏外郭放水路の完成によって、周辺地域で浸水する家屋の戸数や面積は大幅に減り、長年洪水に悩まされてきた流域の被害は大きく軽減されたてきた。
・本施設「首都圏外郭放水路」は別途、“防災地下神殿”として予約制・有料・見学会が催され3コースが設定されています。
(予約等案内: https://www.gaikaku.jp/ )
 
話が途中でそれましたが; 
 首都圏の防災という観点からも問題なのは、特にこの河川流域に形成された厚く軟弱な沖積低地(一律ではないが、砂礫層、粘土または砂質粘土層、そして粘土砂質・砂礫粘土・泥炭などからなる皿状の堆積層)の存在が、地震時の強震動の発生や液状化等の地盤災害の原因になり、また地盤沈下などの 原因と考えられ、さらには流路延長 322kmで、(長さにおいては信濃川に次ぐ日本第2位であるが、)流域面積は16,840km2 と全国1位の利根川などの河川が洪水災害の原因にもなっていること。
 以前から継続的にそれらの自然災害に対する防災・減災対策について計画検討、着工など、また見直しなど行われているが、まだまだ先は長いようだ。
※参考
 *『沖積低地の古環境学』 : 海津正倫(著)古今書院 (1994/5/20) 
 『沖積低地』: 土地条件と自然災害リスク: 海津正倫(著)古今書院(2019/11/3)

※閑話休題:
 太平洋の9島からなる島国ツヴァルは、海面に顔を出す土地が全体で26平方キロメートルしかなく、今後数十年で温暖化に伴う海面上昇によって完全に水没する最初の国といわれている。
 同様の危機にあるキリバス政府は、万一に備えて2000年、国民の需要をまかなうためにフィジーで2000ヘクタールの農地を買収。将来的にこの太平洋地域では一部の国民が、おそらくは文化的に近い隣国に移住を強いられるだろうという。
                             
                  以上

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