クリの花
●クリの花開く(ブナ科クリ属):
梅雨入り前、通りかかった農道沿い農家の畑に数株植栽されたクリの雄花が開花していて、辺りに特異の臭気を漂わせていました。
もうそんな季節になったか、と思ったことでした。
クリは雌雄同株で花は雌雄異花の落葉高木。
1株にいずれも“花弁”のない「雄しべだけの雄花」と、「雌しべだけの雌花を咲かせます。
クリの花は自分の花粉(自家受粉)では種子を作れず、他の木から昆虫類に花粉を運んでもらい(他家花粉で)種子を作る虫媒花。
そのため雄花の開花中に特異な青臭い匂いを発散して昆虫を呼び集め、また雄花が蜜を分泌する(雌花は出さない)ため、昆虫たちは雄花に集まります。
その際に花粉が体に付着して運搬役になり受粉が成立します。
花粉運搬役になるのはハチ類、ハエ、アブ類、ハナムグリなどの甲虫類やチョウ類など多数の昆虫たち。
ちなみに、一番 “他家花粉”に役立つのはマルハナバチだそうです。
◆雄花:
梅雨入り前ごろになると本年枝の葉柄の付け根から10~20cmほどの穂状花序が伸び出してきます。
そして長い雄花穂にクリーム色の雄花が通常7個ずつ集まって、雄しべを十数本突き出しながら多数咲き始めます。
この際特有の臭気を発散するとともに、蜜腺から蜜を分泌します。
(雌花には蜜はありません。)
なお、自家受粉を避けるため、雄花、雌花、雄花といった順に時期をずらして咲くそうです。
◆雌花:
先に雄花が満開になっていた時には雌花に気が付きませんでした。
その10日ほど後、雨上がりの農道を通りかかった時には、既に茶色に枯れた大部分の雄花花穂は地面に落ちていて、雌花、というより既に幼果になりかかったものが目につきました。
雌花序は、枝の上部の穂状花序の基部に1~2個付きます。
後に殻斗(針状のイガ)になる球形の総苞の中に3個の雌花が入っていて、1個の花から雌しべの白い花柱が10本近く針のように突き出ています。
受粉後に実る堅果は長い棘のある殻斗(イガ)に2~3個ずつ包まれることになります。
花期は6~7月
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