雑草の紅葉(2)アカバナユウゲショウ
●アカバナユウゲショウの紅葉:
春から秋、田んぼの畔や農道周辺に群生するアカバナユウゲショウは迷惑雑草の仲間になります。
(5月撮影)
そこで稲の収穫前後には草刈りや除草剤散布、焼却バーナーなどによる除草対象になり、秋口には多くの株の地上部は姿を消します。
しかし、除草から逃れたものや、除草対象にならない場所に生えて地上部が生残している株は10月下旬頃から根生葉を増やし、また匍匐茎を伸ばしているものもあります。
そして、11月中旬前後には、気温の低下と共に地上部は乾燥し、茎の基部は木質化したように硬くなり、また茎生葉は赤色に紅葉します。
紅葉期間は長くはありませんが(1週間ほど?)それなりに、きれいです。
① 舗装農道と小規模の農業用排水溝を隔てる道端斜面に生えた雑草も、草刈りや除草剤散布などによって大部分はきれいに除草されていますが、ところどころには立ち枯れたままの草藪になって残っているところもあります。
その枯れ草藪に混じって一塊の赤い葉があるのに目がとまりました。
近寄って見ても枯れ草などが邪魔になって全体の様子がわからず、何者なのかわかりません。
② もう少し見やすいところはないかと辺りを見回すと、すぐ傍に雑草がほとんど取り払われた路肩に緑色の葉の固まった一株の植物があり、その中心付近から基部が木質化した感じの茎が立ち上がり、その上方が複数回分岐してのびたそれぞれの茎先についた茎生葉が紅葉しているのを見つけました。
株の上に被さって残っていた枯れ草や立ち上がってしなだれていた茎に絡まっていたもの等を手で全部取り除いてから改めて観察。全体の様子がわかりましたが、それでもこの時点では植物名は分かりませんでした。
2,3日、あれこれ調べた結果、アカバナユウゲショウの紅葉、と分かりました。
③ 池端で再度観察、確認:
池の遊歩道から水際に降りる2段階の階段があります。1段目を降りたところにコンクリートブロックを敷き詰めた平面スペースがあります。
そこには基本的に雑草などの植物は殆どありませんが、それでも風雨で運ばれた泥土や、周辺の除草作業後に飛散して堆積した腐植などの上にコケが生え、またブロックの隙間などから生えてくるなどした植物も点在します。
そして、たまたまその場所に降りた時に、少数ながらアカバナユウゲショウの株が点在していて、根生葉の中から伸びた花茎の先についた茎生葉が紅葉しているのを見つけました。
そこで、根生葉の生えた一株の根元を持って引っ張ると、もともとコンクリートの上に少量堆積した“薄い”地面ですから、ごく簡単に株ごと全草が浮き上がりました。
そのまま引っ張ると密生した細根の塊と、太い根茎(地下茎)は途中でちぎれていましたが、また匍匐茎などもついた状態の株が取れました。
おかげで、地下部の様子も観察できたのでした。
珍しくもなんともない植物ではありましたが、こんな余計な観察をしたのは初めてです。(暇のおかげ)
・追記:
別の農道端に生えていた、、根生葉がない一株。
※アカバナユウゲショウ(アカバナ科マツヨイグサ属):
南アメリカ原産の多年草。
茎は基部でよく分枝して叢生し、草丈は20〜60cmになる。
葉には根生葉と茎生葉がある。
茎生葉は互生し、長さ3〜5cm、幅1〜2cmの被針形で縁は波うち浅い鋸歯があり、短い柄がある.
上部の葉腋に直径約1cmの淡紅色の花をつける。(なお白花もある。)
花弁は円く、紅色の脈が目立つ。柱頭は4裂して平開し、花と比べて大きいのでよく目立つ。
雄しべは8個で葯は白色。さく果は上の方が太く8稜が目立ち、断面は八角形。
熟すと先端から4裂して種をこぼす。
花期は4〜10月、分布は関東地方以西であったが、温暖化などで分布域は北上しているらしい。
・根は細根が多数ついた“ひげ根”であるが、根茎と呼ばれる太い地下茎をもつ株もあり、その根茎を地中に伸ばして繁殖域を広げるが、根茎を完全に取り除くことは難しいため、畑や空き地などでは迷惑雑草になる。
また道端などコンクリートのわずかな隙間などでも生育し、冬には長く伸びた茎や葉などの地上部は枯れるが、根元の地面にロゼット状の葉をつけて越冬する。
・ロゼット状態で冬を越した個体は、春に気温が上がり日照時間が長くなるにつれて花径(花をつけた茎)を伸ばしていくと根生葉は次第に枯れていき、葉の多くが茎生葉となって群落が形成される。
花の最盛期にはそれなりにきれいである。
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